喪主が「今すぐ決めなくていい」こと
人が亡くなった直後、
喪主になる人は、思っている以上に多くの決断を迫られます。
悲しむ暇もなく、
「次はどうしますか」
「こちらでよろしいですか」
「今すぐ決めてください」
そんな言葉が、次々と投げかけられます。
頭では理解していても、
心はまだ現実を受け止めきれていない。
それでも喪主という立場上、
「分かりました」と答え続けなければならない。
多くの喪主があとになって口にするのは、
「何をどう決めたのか、正直あまり覚えていない」という言葉です。
そんな葬儀直後の“判断疲れ”の中にいる喪主にこそ伝えたいことを、
あえてはっきり書きます。
葬儀直後、すべてを急いで決める必要はありません。
葬儀直後、喪主が一番つらいのは「悲しみ」より「判断」
喪主のつらさは、
単に大切な人を亡くした悲しみだけではありません。
それ以上に重くのしかかるのが、
判断をし続けなければならない立場になることです。
・葬儀社はどこにするのか
・葬儀の形式はどうするのか
・日程はいつにするのか
・規模はどれくらいにするのか
・誰に連絡するのか
しかもそれらは、
「ゆっくり考えていいですよ」とは言われない状況で、
短時間に決めなければならないことがほとんどです。
人は強いストレス下では、
正確な判断がしづらくなると言われています。
それでも喪主は、
「自分が決めなければならない」
「迷っている場合ではない」
と、自分を追い込んでしまう。
まず、この事実だけは覚えておいてください。
葬儀直後に慌ててしまうのは、喪主として未熟だからではありません。
誰でも、そうなる状況なのです。
慌てて葬儀社を決めなくていい理由
多くの人が、
「病院で紹介されたから」
「そのままの流れで」
葬儀社を決めています。
それ自体が悪いわけではありません。
ただ、問題は**“考える余地がないまま決まってしまうこと”**です。
葬儀社を決めるということは、
単なる業者選びではありません。
それは、
故人をどんな形で送りたいかを、誰に託すかを決めることです。
本来、とても重い選択です。
実際には、
・数時間
・半日
・一晩
少し考える時間が取れるケースも少なくありません。
それにもかかわらず、
「今すぐ決めないと間に合いません」
「皆さんすぐ決められますよ」
と急かされることで、
喪主は立ち止まることを許されなくなってしまいます。
ここで伝えたいのは、
「どこを選ぶべきか」ではありません。
「急いで決めなければ失礼」という思い込みを、いったん手放していい
ということです。
葬儀社選びで、喪主が本当に見てほしいポイント
価格やプラン内容も大切です。
ですが、喪主という立場で後悔しやすいのは、
**金額よりも“向き合われ方”**です。
葬儀社を検討するとき、
次のような点を感じ取ってみてください。
-
説明が早すぎないか
-
専門用語をそのまま使っていないか
-
こちらの迷いを「普通ですよ」と受け止めてくれるか
-
決断を急がせる空気を出していないか
良い葬儀社ほど、
喪主が迷うことを前提に話をしてくれます。
逆に、
「もう決めましょう」
「こちらが一般的です」
と選択肢を狭めてくる場合、
喪主の気持ちより段取りが優先されている可能性もあります。
喪主は“素人”で当たり前です。
分からないことを分からないと言える相手かどうか。
それが、何より大切な判断基準です。
喪主の役割は「完璧に仕切る人」ではない
喪主になると、
「ちゃんとやらなければ」
「間違えてはいけない」
というプレッシャーを強く感じる人が多いです。
ですが、喪主の役割を
“完璧に進行する責任者”
だと考える必要はありません。
喪主の本来の役割は、
故人と家族の気持ちを守る立場です。
・分からないことは分からないと言う
・納得できないことは保留する
・疲れたら周囲に頼る
それらはすべて、
喪主として「間違い」ではありません。
むしろ、
無理に強く振る舞い続ける方が、
あとになって心に大きな疲れを残します。
「今決めなくていいこと」を見分ける
葬儀直後には、
確かにすぐ決めなければならないこともあります。
一方で、
あとから決めていいことも、実はとても多いのです。
たとえば――
・仏壇をどうするか
・位牌をどうするか
・供養の形をどうするか
これらは、
気持ちが落ち着いてから考えても、まったく遅くありません。
にもかかわらず、
「今決めておいた方がいいですよ」
という言葉に押され、
本当は迷っているまま決断してしまう。
この章で、喪主に一つだけ覚えておいてほしい言葉があります。
「今決めなくていいことは、今決めなくていい」
この線引きができるだけで、
喪主の心はずっと楽になります。
葬儀は終わりではなく、始まり
葬儀が終わると、
多くの人が「これで一区切り」と感じます。
ですが、供養という意味では、
そこからが本当の始まりです。
日々の手を合わせる時間、
故人を思い出す瞬間、
家族で語り合う記憶。
それらは、
慌てて整えた形よりも、
納得して選んだ形の方が、長く寄り添ってくれます。
仏壇や位牌も同じです。
「急いで決めたから後悔した」
という声は少なくありません。
一方で、
「時間をかけて考えてよかった」
という人は、穏やかな表情をされています。
まとめ|慌てなかった喪主ほど、あとで後悔しない
葬儀直後、
立ち止まることは勇気がいります。
周囲は動いている。
時間も流れている。
自分だけが迷っているように感じる。
ですが、
慌てないことは、冷たいことではありません。
それは、
故人を大切に思っているからこそ、
簡単に決めたくないという気持ちの表れです。
喪主が落ち着くこと。
それは、家族全体を守ることにつながります。
どうか、
「ちゃんとやらなきゃ」よりも、
「納得できているか」を大切にしてください。
それが、
喪主として最も大切な心構えです。





